1.セクトってなに?
セクトとは、惑星やサインなどのチャート上の要素を、「昼」と「夜」という二つのグループに分けることをさします。
「日中は暑さと活発な力のため男性的で、夜間は湿り気と安らぎがもたらされるため女性的である」(テトラビブロスより)という概念があり、それに沿って惑星やサインが昼夜で分けられました。
チャートが昼のものか夜のものかによって、重要となる惑星がスイッチします。
<惑星のセクト>
【昼チャート】 【夜チャート】
セクトのライト:太陽 セクトのライト:月
吉星 :木星 吉星 :金星
凶星 :火星 凶星 :土星
★セクトのライトとは、そのチャートを支配する惑星のことです。
★水星は、オリエンタル(太陽より早くアセンダントを上昇する)であれば昼の惑星、オキシデンタル(遅く上昇する)であれば夜の惑星となります。
つまり、昼のチャートであればチャートを支配しているのは太陽、吉星は木星、凶星となるのは土星よりも火星。
夜のチャートでは月がチャートを支配し、金星が木星よりも吉意を持ち、凶星は土星となります。
なぜこのように分けられるのでしょう?それは、その性質の組み合わせで説明ができます。
<ライトと吉星の場合>
昼(Hot)=太陽と木星(どちらもHot)
夜(ColdでMoist)=月と金星(どちらもColdでMoist)
同じ性質の環境に身を置くことで、有益な影響が増す。
<凶星の場合>
昼(Hot)=土星(Cold)
夜(Cold)=火星(Hot)
破壊的な性質の星は、その反対の環境に身を置くことで凶意が弱められる。
昼のチャートの場合、昼の惑星である太陽、木星、土星は「セクトを得た状態」と表現します。ライトと吉星は、セクトを得ているとそれだけで良い状態であるとされ、凶星はその凶意が弱められます。反対に、月、金星、火星は「セクトを外れた状態」と表現され、ライトと吉星の働きは控えめとなり、逆に凶星はその凶意を増します。
同じように夜のチャートの場合、月、金星、火星はセクトを得た状態で、太陽、木星、土星はセクト外となります。
<サインのセクト>
黄道順位が奇数のもの:昼のサイン:男性的
♈、♊、♌、♎、♐、♒
黄道順位が偶数のもの:夜のサイン:女性的
♉、♋、♍、♏、♑、♓
昼と夜は常に繋がっており、それらは交互にやってくるため、このように配置されたと考えられています。
昔は夜と言えばもう月と星の光くらいしかなく、世界を「昼と夜」「光と闇」のように二極化することが、今よりもずっと重要だったと思われます。
セクトはヘレニズム期では重視されていましたが、徐々に重要ではなくなっていき、20世紀にはセクトの概念はほぼなくなってしまいました。しかし、伝統的占星術が復興する過程で再び脚光を浴びるようになったのです。
現代占星術で昼夜を重視して読むことはあまりないと思いますが、一度古典を知るとその重要性を身に染みて感じるのではないでしょうか。
2.ハルブ・ヘイズ(ドメイン)
今現在持っている、数少ない占星術の本の中にも、この概念について記載されているものは少ないです。そしてあまり重視されていません。ですが、惑星の状態を判断するのに多少の効力は持っていると考えられます。
これらは昼夜にチャートの要素を分ける(セクト)ことを前提に、さらに細かく惑星の状態を分析したものです。
<ハルブ>
以下の条件にあてはまるものをハルブといいます。
昼のチャートでは昼の惑星が「地平線より上」にある
夜の惑星が「地平線より下」にある
夜のチャートでは昼の惑星が「地平線より下」にある
夜の惑星が「地平線より上」にある
※ハルブの条件にも諸説あるようなのですが、私はこちらの説を推します。
<ヘイズまたはドメイン>
以下の条件にあてはまるものをヘイズまたはドメインと言います。
①ハルブである
②昼の惑星が昼のサインに、夜の惑星が夜のサインに入っている。
この条件にあてはまる惑星は自身を律することができる状態とされています。アクシデンタルなディグニティを得ているのと同じような状態で、仮に品位が低くても、自らを鍛え上げることができると言われています。
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この夜のチャートでは、水星と火星以外の惑星がハルブで、そのうち月、金星、木星がヘイズ(ドメイン)となっています。ただ、木星はセクトを得ていませんし、月と金星は弱いハウスに入っているため、その効果はいかほど?という感じではありますが・・・ないよりはまし!という感じでしょうか。
あくまでもマイナーな条件ではありますが、惑星を良い状態にするひとつの要素と考えて良いでしょう。